P子はこんな子:PUF60 related syndrome
P子が家にいると、必ず1時間に1回は、家族の誰かが「P子!」「早く!」「何してんの!」と強い口調の声を出します。
トイレやお風呂を長時間占有したり、使ったものを全てリビングに出しっぱなしにしていたり、出かける用意が一人だけ終わらず最後になってもまだ欲張って持ち物を増やそうとしたり、そういったことがきっかけなのですが…
境界知能で、ワーキングメモリーが特に低い(WISC‐Ⅳより)という特徴があるので、知能のせいにして、P子の問題行動を理解した気になることもありますが、
P子との日常生活はとても、それで済む話ではありません。
イギリスのUniqueという慈善団体(Rare Chromosome Disorder Support Group)が作成している
PUF60 related syndromeというリーフレットにも、学習面の問題と共に、「一部の子ども達には」という前提をつけつつ、行動面の問題が起こることについて述べられています。
例えば、「嚙みつきや頭をぶつけるなどの自傷行為」「かんしゃくや暴発」「未熟な行動」などです。
P子に、あてはまらない点もありますが、「かんしゃく」(例えば、ストレスがたまると、「私、イラついてるから!」と不機嫌さをまき散らす)、「未熟な行動」(全体的に幼い様子で、「中身は小学生だね」とよく言われている)と言えるようなところもあり、PUF60 related syndrome(診断名として確立していないので、P子は主治医より「PUF60 異常症」と名づけられています)から来るものなのかと思うこともあります。
親からすると、P子(16歳)といると、ある意味、妖精とかホビットとかと対しているような気分になります(笑顔が多くて、見た目もちょっとそんな感じ💦)。言葉は通じるし、注意すれば一般社会常識も理解しようとしてくれているけれど、とても強く独特の行動原理、時間感覚、世界観を持っているのです。
その全体像や生活感が伝わるように、行動上で困っていることや、特徴的に思えることを、思いつくままに挙げていきます。
☟
・何かしていても、すぐにぼーっとしてしまう
・声かけされないと、自分のすべきことをすぐ忘れる
・プリント類をしわしわにならない状態で持ち帰ることができない
・不合理な場合でも、がんこに自分のやり方や順番にこだわってしまう
・おしゃべりだけど、まとまっていないので、話の落ちが見えない
・説明が苦手なため、「話が長くなるよ」とよく言うが、聞くと長くない話
・テンションが上がると、道路でも声が大きい
・映画館でドキドキする場面が苦手で、はおるものなど目隠しできるものを持参する
・意外と、真をついたことをたまに言う
・いいと思った人のことはやたらと褒める
・人との距離が近い
・時々「P子に癒される」という大人が周りに発生する
・食べ方が上手にならず(食べ物が口からはみ出す)、洋服に汁汚れが付きやすい
・偏平足なのか、足音がバタバタ大きい
・足はとっても遅いけど、持久力は結構ある
・水泳はスイミングスクールに通い続けた結果、パワフルに4泳法できる
・イケメン好き
・異世界、溺愛、転生系の小説をよく読んでいる
・今どきのBTSが好き、King of popsのMJも好き、お気に入りの曲はリピート再生を何十回もする
・出かけた先のトイレに行く時、「5分で出てね」と声かけをしないと、下手をすると同行者は20分待つことになってしまう
・家から出かける時はいつも、P子がなんか遅いので家族全員が外でイライラ待つ状況になる(繰り返し)
そんな娘P子と一緒に歩く時、なかなか自然な横並びにはなりません。基本的にP子は一定の速度で歩くことも、テンポを合わせることも苦手、合わせようと意識するとやたらと距離が近くなってぶつかります。結果、はぐれそうな時は手をつなぐか、「ちゃんとついてくるんだよ」と言って姿を確認しながら歩くか。
気を抜けない、そんなP子育ての旅の途中。